日本画はいろいろな支持体に描くことができますが、ほとんどの作家は和紙に描く紙本か絹に描く絹本(けんぽん)を選択しています。いずれも作業工程の中で「裏打ち」を行います。紙本の場合は描く前に紙の強度を増す目的で、絹の場合は制作後に表装するために行います。本画の裏に用途に合わせた和紙を貼る「裏打ち」がずっと日本絵画を支えてきました。掛軸や巻物は繰り返し巻いたり広げたりしますが、それを繰り返すと当然和紙が弱っていきます。しかし日本絵画は本画の裏にもう一枚裏打ち紙を澱粉糊で張り付けた二層構造となっているため、古くなったり弱ったりした裏側の和紙を取り替えることでまた新しく生まれ変わります。澱粉糊は水を含むと剥がれるという可逆性をもっているため、何度も剥がし、新しい紙に張り替えることができるのです。こうして長い間、日本の絵画は大切に管理され保存されてきました。絹本の場合はこの裏打ちを施すことであらゆる表装に対応することができます。(表装とは書画を掛軸、屏風などに仕立てること)今日は、札幌にある「表具の一心堂」の柄澤光昌氏を講師にむかえ裏打ちの実習を行いました。